黒井瓶のあれやこれや

黒井瓶のあれやこれやです。かつては黒井マダラ、その前は黒井蛇口と名乗っていました。

肉を脱ぐ

 先月祖母の葬式がありました。それ以来私は、自分の葬儀についてぼんやりと考えるようになりました。

 どのような弔いが自分にふさわしいか。色々と考えた末、私は「ミイラになりたい」と願うようになりました。

 古代エジプト人は復活のために死体をミイラにしました。しかし私は復活を望んでいるわけではありません。そうではなく、「乾きたい」という欲求があるのです。

 私の尊敬する哲学者ヘラクレイトスの言葉に、「乾いた魂こそ,最上の知を備え,最もすぐれている.」というものがあります。(ヘラクレイトスについては後日また記事を書こうと思います。)「乾いた魂」とはよく分からない表現ですが、私はいわゆる通俗的な意味での「ドライさ」だと理解しています。

 私もドライでありたいと思っているのですが、現実の私は心身ともに湿り気のある人間です。身体は天性の汗っかき。夏の暑い盛りには披露宴の新婦のような頻度で服を着替えています。精神面も同じくドライとはかけ離れています。常時はねっとりじっとり、非常時は沸騰しがち。カビの生え揃った男子高校生でございます。恐らく私は一生このような性格なのでしょう。

 生きている間にドライでいられないのならば、せめて死んでからは乾燥していたい。そう思った私はミイラ化を望むようになりました。当然、エジプトのファラオのような大層手の込んだ処理は要りません。血液と内臓を抜いたあと塩を揉みこみ、上州のからっ風に一冬さらす。この程度でも立派なミイラは完成すると思われます。

 もちろん私は「火葬をしないといけない」ことぐらい知っています。しかし、それなら一旦干してから焼いた方がよく燃えると思います。上手に作ればチャッカマン程度で燃えるのではないでしょうか。

 

 そもそも私は葬儀以前に身体をもう少し軽くしたいと思っています。特に寝るとき。

 私はいつも眼鏡をかけているのですが、就寝時には外すようにしています。靴下や腕の数珠も外して布団にもぐるのです。

 私はしていませんが、裸で寝る文化圏もあると聞きます。やはり身体を軽くして寝たいと思うのは万国共通のようです。

 しかし、私は裸程度では満足できません。もっと軽くしたい、肉も脱いでしまいたい。いつしか私はそう思うようになりました。

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 私が考えた理想の睡眠を絵にしました。ハロウィンらしい、いい絵が描けたと思います。

 さすがに胴体の内臓は細かいので、朝まとめるのが面倒になると思い外しませんでした。それ以外の筋肉や脂肪、皮膚の部分は脱いでハンガーにかけます。また、私は普段から「頭蓋骨よりも脳の方が大きい」ような違和感を覚えているので、脳は取り外しました。脳とくっついているので眼球も一緒に取り外します。ただまぶたがないのは多少まぶしいので、寝る前にはペイズリー柄の手ぬぐいか何かで覆おうと思います。

 手足も取りたいです。いつも私は手足の下に枕を敷いて寝ているのですが、それは手や足といった末端に血が溜まる感覚がするからです。しかし、それならいっそ外して逆さ吊りにしたいと思います。

 私は中学時代吹奏楽部だったのですが、使い終わった管楽器はバラバラに分解して収納しました。人間も寝るときぐらいバラバラに分解できないのでしょうか。

 最後に、人体のデザインに関わっている方へ私から一言。私たちユーザーからの意見をくみ取り、もう少し便利な身体を開発していただけませんでしょうか。私は真剣に、分解可能なものが発売されたら乗り換えたいと思っています。ユーザー目線での人体開発、期待しています。